INFORMATION

法務情報

2013/06/27

法務情報

【交通事故】治療の打ち切りを求められた

新潟事務所弁護士古島実交通事故

★当事務所ホームページの交通事故に関するページはこちら★

 

1 交通事故で、ムチウチになって、しばらく近所の医院に通って治療していました。事故直後よりもだいぶ良くなってきましたが、最近は何度も医院に通ってもあまり、よくなりません。首や腰を動かすと未だに痛く、手にしびれが残っています。事故から5か月くらい医院に通ったところで、加害者の保険会社から、「症状固定にして、治療を打ち切りにしてください。」と言われました。事故直後、加害者の保険会社は治療費を支払うので安心して治療してくださいといいました。初めの約束とは違っていると思います。どうしたらよいでしょうか。

  

2 交通事故の怪我は残念ながら治療しても完全に治らず痛みや不自由が残り、後遺障害が残る場合があります。どんなに治療をしても、これ以上よくならず、症状が一進一退になる時期があり、その時期を症状固定といいます。

  

法律上、加害者は被害者の治療費を支払う義務がありますが、症状固定までの治療費しか負担しなくてもよいのです。それ以後は、後遺障害が認められた場合に、加害者は、後遺障害についての慰謝料や十分に働けなくなったことに対する賠償(逸失利益の賠償)をすることになります。症状固定をした以後の治療は、被害者が自分の健康保険を使って一部を自己負担して受けることになります。

  

以上のことからすれば、加害者の保険会社が言っていることは法律上やむを得ないことで、初めの約束と違っているわけではありません。もう、治療をしないでくださいと言っているわけではありません。

  

対応としては次のような選択になると思います。

 

(1)治療をがんばって続ける

 

 主治医を説得して、まだ、症状固定には至っておらず、治療が必要であるという診断書をもらって、加害者の保険会社に示して、加害者の保険で治療を続ける。この場合、主治医が症状固定だという判断をすればどうにもなりません。

 

(2)後遺障害認定手続きへと進む

 

 主治医と相談して、症状固定になっているかどうかを確認し、症状固定になっているという意見であれば、加害者の保険会社の提案のとおりに、治療を止めるか、自己負担で治療を受け、後遺障害の認定を受け、後遺障害についての損害賠償を受ける。ただし、後遺障害が認められない場合もあります。

 

3 どちらが有利かはケースバイケースで、(1)で頑張って、治療費を自己負担せず治療を続け、通院慰謝料や休業損害を多めにもらうこともできなくもありません。頑張って治療を続けたら、症状が治って、後遺障害が認められなくなることもあり得ます。粘らずに、後遺障害認定を受けた場合のほうが全体として多額の賠償金を取得できる場合もありますが、後遺障害と認定されない場合もあります。

 

もし、弁護士が事故直後からかかわれば、将来の見通しを立てながら対策を検討することができます。保険会社との対立や交渉の面倒、どうしてよいかわからない不安からも解放されます。

  

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 古島 実
(当事務所「事故賠償」チーム責任者)◆

     

月間アーカイブ