2024/08/26
法務情報
代表取締役等住所非表示措置が始まります(弁護士 角家 理佳)
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代表取締役等住所非表示措置が開始されます
令和6年10月1日から、代表取締役等住所非表示措置が始まります。
代表取締役等住所非表示措置とは、申し出があった場合に一定の要件の下で、株式会社の登記事項証明書等に代表取締役、代表執行役及び代表清算人(以下「代表取締役等」といいます。)の住所の一部を表示しないことを認めるものです。
現在は、会社の登記事項証明書等に会社の代表取締役等の住所が表示されるようになっています。
また、登記情報提供サービスといって、インターネットを利用して登記情報を確認することができるサービスがあり、ここでも会社代表者の住所を見ることができます。
そのため、 以前から自宅住所が公開されることに抵抗感を抱く人から、非表示についての要望があり、代表取締役等のプライバシーや個人情報保護等の必要が議論されてきたのですが、この度、商業登記規則等の一部を改正する省令により、その一部が実現することになりました。
この措置が講じられると、これまで番地まで表示されていた代表取締役等の住所の記載は、最小の行政区画(例えば、「新潟市中央区」)までの表示に限定されることになります。
これによって、著名人や、家族の安全を心配する人が、安心して起業できるようになることが期待されています。
登記情報から代表者の住所を非表示にするには?
この措置を受けたい人は、登記申請と同時に申し出る必要があります。
すでに登記されている人は、重任登記等の際に申し出ることができます。
具体的な手続きや必要書類等は法務省のHPに詳しく掲載されていますので、そちらでご確認ください。
(法務省:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00210.htm)
代表取締役等住所非表示措置を利用する際の注意点
ところで、期待されているこの制度ですが、利用にあたっては注意も必要です。
まず、この措置は、登記事項証明書に代表取締役等の住所の一部を表示しないというものであり、住所の登記義務自体を免除するものではありません。
そのため、住所変更時には、登記申請を忘れずにする必要があります。
また、この措置が講じられると、登記事項証明書等では、代表取締役等の住所を証明することができなくなりますので、金融機関から融資を受ける際や、不動産取引の際に別の書類で証明することが必要になる等、別の面倒が生じることが予想されます。
さらに、現時点でこの措置を受けられるのは株式会社に限定されています。
少人数で始めるスタートアップ企業に適した法人形態といわれる合同会社は、この措置を受けることができません。
この措置の導入により起業の促進に繋がることも期待されていますが、この点で、その効果は限定的かもしれません。
どんな制度にもメリット、デメリットはあります。それらをよく検討した上で利用されるとよいでしょう。
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