2024/12/10
法務情報
司法試験ってどんな試験?(弁護士 山田 真也)
新潟事務所、燕三条事務所、長岡事務所、新発田事務所、上越事務所、長野事務所、高崎事務所、弁護士山田真也、コラム、松本事務所
1 はじめに
本年(2024年)の司法試験において、何と高校2年生(17歳)が合格され、現行の試験制度における最年少合格者が誕生しました(ちなみに、現行の試験制度における最高齢合格者は2017年の71歳です)。
現在、月曜日22時よりフジテレビ系列で放送されているドラマ「モンスター」は、弁護士を主人公とするドラマで、女優の趣里さん演じる主人公は高校3年生で司法試験に合格した弁護士という設定ですが、その設定をさらに上回る高校2年生の合格者が現実に誕生したわけです。
弁護士になるために合格しなければならない「司法試験」ですが、どんな試験かを少しだけご紹介します。
(なお、執筆時点の試験制度を前提にします。)
2 受験資格
司法試験を受験できるのは、①法科大学院を修了した者、又は、②司法試験予備試験に合格した者です。
冒頭でご紹介しました高校2年生の方は、②で受験資格を取得された方で、高校1年生の時に司法試験予備試験を受験・合格し、高校2年生の時に司法試験を受験・合格されました。
本年における司法試験は全体で3779人が受験し、そのうち、①の受験資格で受験した人が3304人、②の受験資格で受験した人が475人ですので、現状は①の受験資格で受験する人のほうが多い状況と言えます。
なお、司法試験には、①又は②で受験資格を得てから「5年で5回」という受験回数制限があります(以前は「5年で3回」だったのですが、現在は「5年で5回」になっています)。
受験回数制限のうちに司法試験に合格できなかった場合、受験資格を喪失し、再度、①又は②のいずれかの方法で、受験資格を得なければなりません。
3 試験日程
1年に1回、5日間にかけて行われます(うち1日は中日休みです)。
具体的には、以下のとおりです。
⑴ 1日目
論文式試験(選択科目)3時間、論文式試験(公法系科目①)2時間、論文式試験(公法系科目②)2時間
⑵ 2日目
論文式試験(民事系科目①)2時間、論文式試験(民事系科目②)2時間、論文式試験(民事系科目③)2時間
⑶ 中日
休み
⑷ 3日目
論文式試験(刑事系科目①)2時間、論文式試験(刑事系科目②)2時間
⑸ 4日目
短答式試験(民法、憲法、刑法)計2時間55分
4 合格率
現行の試験制度に移行後、概ね25%から30%程度で推移してきましたが、近年は受験者数の減少等もあり、40%程度の合格率となっています。
5 旧司法試験と新司法試験
先ほどから「現行の試験制度」という表現を何度か用いていますが、上で紹介しました現行の試験制度は2006年より開始されたものです。
それ以前の司法試験は現行の司法試験と区別され「旧司法試験」と呼ばれています(2011年までは現行の司法試験と並行して旧司法試験も実施されていました)。
現在は、現行の試験制度を単に「司法試験」と呼ぶことが多いですが、旧司法試験と区別する意味で「新司法試験」と呼んだりすることもあります。
旧司法試験は、現行の試験制度と異なり、受験資格はありませんでしたが、合格率は例年「2%~3%」程度と、非常に狭き門でした。
6 番外編(司法修習)
司法試験に合格後、すぐに弁護士になることができるかと言ったら、そうではありません。
弁護士になるためには、司法試験合格後、「司法修習」と呼ばれる約1年間の修習を行う必要があります。
司法修習については、また別の機会にご紹介します。
7 おわりに
司法試験についてご紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。
弁護士を主人公とするドラマは、たいてい弁護士になってからにスポットを当てたものが多いですが、法科大学院を舞台にしたドラマとして「女神の教室〜リーガル青春白書〜」(2023年・主演 北川景子さん)、司法修習を舞台にしたドラマとして「ビギナー」(2003年・主演 ミムラさん)などもありますので、もしご興味がありましたら、ご覧ください。
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