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法務情報

2025/01/29

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フジテレビが第三者委員会を設置(弁護士 薄田 真司)

コラム企業・団体弁護士薄田真司新潟事務所長岡事務所上越事務所燕三条事務所新発田事務所長野事務所松本事務所高崎事務所

1.フジテレビが第三者委員会設置を決議

株式会社フジテレビジョン(以下「フジテレビ」という。)は、本年1月23日、第三者委員会を設置することを臨時取締役会で決議し、その旨を公表しました。

これは、令和5年6月にフジテレビの番組出演タレントと女性との間で生じた事案(以下「本事案」という。)に関連した令和6年12月以降の一連の報道を受けてのものとされています。

先日の10時間を超える記者会見の際にも、今後第三者委員会による調査が開始される旨の回答がフジテレビからなされていました。

2.フジテレビが設置する第三者委員会の概要

フジテレビが公表した「第三者委員会の設置について」という資料によれば、事実関係の調査及びフジテレビの事後対応やグループガバナンスの有効性を客観的かつ独立した立場から調査・検証する、調査結果を踏まえた原因分析及び再発防止に向けた提言を得る、という目的であるとのことです。


また、第三者委員会への調査委嘱事項は、

1)本事案へのフジテレビ及びフジ・メディア・ホールディングスの関わり
2)本事案と類似する事案の有無
3) フジテレビが本事案を認識してから現在までのフジテレビ及びフジ・メディア・ホールディングスの事後対応
4) フジテレビ及びフジ・メディア・ホールディングスの内部統制・グループガバナンス・人権への取組み
5) 判明した問題に関する原因分析、再発防止に向けた提言
6)その他第三者委員会が必要と認めた事項


の6点であるとされています。


第三者委員会の構成メンバーは、3名の弁護士であるとのことです。

3.日本弁護士連合会が策定したガイドラインとは

フジテレビが設置する同第三者委員会は、日本弁護士連合会が策定した「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(以下「本ガイドライン」という。)に準拠するものであるとのことです。


本ガイドラインは、平成22年7月15日に策定され、同年12月17日に改訂されたものであり、合計6頁にわたって、第三者委員会の活動、独立性・中立性、企業などの第三者委員会への協力、委員の適格性等、に関する指針が示されています。

本ガイドラインによると、第三者委員会とは、企業や組織において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(これらをガイドラインでは「不祥事」と呼んでいます。)が発生した場合及び発生が疑われる場合において、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会である、とされています。

また、第三者委員会は、すべてのステークホルダーのために調査を実施し、その結果をステークホルダーに公表することで、最終的には企業等の信頼と持続可能性を回復することを目的とする、されています。

4.これまでに経験した第三者委員会の活動について

私は、第三者委員会の委員に就任したことはないですが、第三者委員会の事務局として調査業務や報告書作成業務の補助をしたことがありました。


第三者委員会を設置する企業等からの依頼であるものの、あくまで中立の立場であること、例えば訴訟のように不祥事が法令に違反するか否かという点のみを判断するのではなく、最終的には企業等の信頼及び持続可能性を回復するために事実を調査し、再発防止策を提言すること等、従来の弁護士業務とはかなり異なった活動であると感じます。

5.フジテレビの第三者委員会の今後

フジテレビが設置した第三者委員会は、本年3月末を目途として調査報告書をフジテレビに提出する、としているようです。


本事案に関するフジテレビの対応が大きく注目されている現状からすると、第三者委員会においては、ある程度の期間をかけて、徹底的な事実関係の調査、問題点・原因の特定、再発防止策の提言等を極めて詳細に報告する姿勢が求められますし、フジテレビにおいても、第三者委員会の調査に最大限協力する姿勢が求められると思います。


この記事を執筆した弁護士
弁護士 薄田 真司

薄田 真司
(うすだ まさし)

一新総合法律事務所 弁護士

出身地:新潟県胎内市
出身大学:神戸大学法科大学院修了
主な取扱分野は、企業法務(労務・労働事件、倒産対応、契約書関連、クレーム対応、債権回収など)。そのほか個人の方の債務整理、損害賠償請求、建物明け渡し請求など幅広い分野に対応しています。
事務所全体で300社以上の企業との顧問契約があり、数多くの企業でハラスメント研修の講師を務めた実績があります。​また、社会保険労務士を対象とした勉強会講師を担当し、労務問題判例解説には定評があります。​

 

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