2015/07/23
法務情報
【法務情報】新国立競技場「白紙に」違約金など請求される可能性は!?
Q.新国立競技場「白紙に」違約金など請求される可能性は!?
2020年東京五輪・パラリンピックのメイン競技場となる新国立競技場の巨額の建設費に非難が集中している。
7/18に計画は「白紙に」と首相が正式表明した。政府は秋口までにまとめる新たな整備計画で、整備費の上限や新競技場に求める条件などを提示するという。
当初の総工費は1300億円がデザイン通りに建設すると…試算3000億円、安価な材料に変更しても、2,500億円にも膨らむという。
スカイツリーが4本分という高額な金額。
実際工事を変更した場合、建築会社から違約金など請求される可能性は!?
A.
一般的に、工事を見直す場合には、契約が締結済みかどうか、締結済みの場合にはどのような取り決めにしているかによって、違約金や損害賠償についての結論が異なってきます。
新国立競技場建設の事業主体のJSC(日本スポーツ振興センター)によれば、これまでの契約に関する費用は60億円近くに上り、大半は戻ってこない見通しであるということです。
その内訳は、設計会社の設計業務が36億円余り、ハディド氏のデザイン監修が約15億円、施工を予定し設計にも携わった建設会社2社の技術協力が約8億円ということです。
発注者による一方的な変更であり、履行済みの部分が返金されないのは、法律的にはやむを得ないでしょう。
また、JSCによれば、ハディド氏との契約では違約金は発生しないものの、今後、「オリンピックスタジアムのデザインを手がけた実績を失うことなどに対する損害賠償を求められる可能性がある」ということです。
しかし、工事見直しにはやむを得ない理由があるうえ、もともとハディド氏は「アンビルトの女王」との異名もあるそうですので、実績を失ったということで、発注者が損害賠償を支払う義務を負ういわれはないように私は思います。
他方、JSCは、建設会社のうち1社と契約したスタンド部分の工事費約33億円については、「資材の発注がまだであれば、費用はほとんどかからない」という見通しを示しているようです。
とはいえ、契約済みの工事ですので、契約が履行された場合に得られたであろう建設会社の利益などについて損害賠償請求ができる余地もあるのではないでしょうか。
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