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法務情報

2011/09/27

法務情報

【法務情報】外国人雇い入れ時の注意点について

新潟事務所弁護士角家理佳労働

 経済社会の国際化に伴い、日本でも外国人労働者が増加しています。
 外国人労働者に対する見解は種々ありますが、少なくとも安価な労働力とだけ捉え、その人権を蔑ろにすることは不適切です。いかなる考えによるとしても、外国人を雇い入れるのであれば、守らなければならないルールがあります。法律で禁止されているものから努力義務にとどまるものまで程度の差はありますが、企業を支える貴重な労働力であることを考えれば、後者についてもできるだけその実施に取り組むのが望ましいと言えるでしょう。

 

 1 まず、募集についてですが、国外に居住する外国人労働者のあっせんを受ける場合には、許可又は届出のある職業紹介事業者から受けることとし、間違っても人身売買まがいのことをする怪しいブローカーなどに頼んではいけません。

 
 2 採用にあたっては、パスポートや外国人登録証明書等で、在留資格(外国人が日本国内で適法に行える活動の種類、範囲を決めたもの)と在留期間(その外国人が日本に適法に滞在し、活動できる期間)を確認してください。

 
 ・永住者または永住者の配偶者、日本人の配偶者、定住者であれば、就労活動に制限はありません。
 ・外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、特定活動については、在留資格に定められた範囲で就労が認められます。
 ・文化活動、短期滞在、留学、就学、研修、家族滞在の資格では、原則として就労は認められません。留学、就学及び家族滞在の在留資格を持つ人は、地方入国管理局で資格外活動の許可を受ければ、アルバイト等の就労活動を行うことができます。
 上記の制限に反して、日本国内において就労することができない者をそれと知って就労させると、使用者が入管法73条の2の不法就労助長罪で、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられることもありますから要注意です。

 
 3 そして、一旦雇った以上は、外国人労働者に対しても適正な労働条件を確保しましょう。
 労働基準法3条は、国籍による差別待遇を禁止しています。したがって、賃金や労働時間について、日本人と均等の待遇をしなければなりません。
 また、外国人労働者に対しては、賃金、労働時間等の主要な労働条件について、本人が理解できるようにその内容を明示した書面を交付するようにしてください。
 そして、適正な労働時間を管理するほか、旅券を預かったりしないこと、労働者が退職する際にはその者の金品を返還することが求められています。
 それから、安全性の確保の点から、安全衛生教育を実施する際には、外国人労働者が理解できる方法によること、労働災害防止のために必要な日本語や基本的な合図等を習得させること、労災防止に関する標識等は図等を利用し、外国人にもその内容を理解できるようにすることが大事になります。
 さらに、外国人が能力を発揮しやすいように環境整備をすること、日本の慣習等について理解を深めるように教育すること、相談に応じることなどにも取り組むとさらによいでしょう。

 
 4 外国人労働者を採用した場合は、その雇入れの際及び離職の際に、その者の氏名、在留資格等について、ハローワークに届出ることが義務付けられています。この届出をしないと、指導・勧告の対象になるばかりでなく、雇用対策法違反で30万円以下の罰金を課せられることもありますので、よくよく注意が必要です。

 

以上については、厚労省や労働局のHPに詳しく掲載されていますので、該当する事業者の方には、一読をお勧めします。

 

 ◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 角家 理佳◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2010年11月30日号(vol.67)>


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