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法務情報

2016/05/12

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【法務情報】中2女子2人が電車に飛び込み自殺!かかった費用は遺族が払う!?

弁護士朝妻太郎

 

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Q

電車に飛び込み自殺する方は,残念ながら毎年多いですね。
今月も中2女子2人が電車に飛び込み自殺!という悲しい事故が起こりました。

しかし,他の乗客に大きく迷惑をかける事にもなる電車の事故。
電車の人身事故があった際に,遺族に賠償請求が来ると聞いたことがあります。
ご遺体の移動にかかる費用,電車や線路を元通りにするための工事費,また他社路線への振替切符も発行,時間遅れで払い戻しした特急料金など考えると莫大なお金もかかりますよね?
請求された場合,家族を亡くし,悲しみに暮れる遺族には大変なことですね。
また,認知症の老人が徘徊して電車を止めてしまい,その損害賠償を家族が求められたという事件もありました。
自殺の場合,本当に財政的負担はかかるのか?
また自殺ではないが,認知症という病気の場合はどうなのか?

A

理屈の上では,鉄道会社から遺族に対して損害賠償を請求をすることは可能です。
そして,ご遺体を移動させ線路を原状に戻したり,壊れた設備等を直す費用はもちろんのこと,自殺行為がなく通常通り鉄道を運行したら得られたであろう利益に相当する金額を請求されることが考えられます。
本来的には,自殺行為は,亡くなられた方がした行為なので,亡くなられた方が負担すべきものですが,相続により残された遺族が責任を引き継ぐとも考えられます。

しかし,実際に請求するかどうかは,その鉄道会社の判断次第であり,全ての事案で請求されているわけではなさそうです。

また,認知症の方が電車を止めてしまった場合,家族が、その人の「監督者」としての責任を負うかどうかが問題となります。
最近では,生活状況や介護の状況から家族に責任を負わせることが妥当か決めるとした裁判例が出されています。
こちらもケースバイケースの判断となります。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 朝妻 太郎

朝妻 太郎
(あさづま たろう)

一新総合法律事務所
理事/新潟事務所長/弁護士

出身地:新潟県新潟市
出身大学:東北大学法学部

関東弁護士会連合会弁護士偏在問題対策委員会委員長(令和4年度)、新潟県弁護士会副会長(令和5年度)などを歴任。主な取扱分野は企業法務全般(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)のほか、離婚、不動産、金銭問題など幅広い分野に精通しています。
数多くの企業でハラスメント研修、また、税理士や社会保険労務士、行政書士などの士業に関わる講演の講師を務めた実績があります。​
著書に『保証の実務【新版】』共著(新潟県弁護士会)、『労働災害の法務実務』共著(ぎょうせい)があります。

 


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