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法務情報

2011/03/29

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【法務情報】インターネット上のサイドビジネス~「アフィリエイト」と「ドロップシッピング」にまつわるトラブル~

弁護士大橋良二新発田事務所消費者

1 「アフィリエイト」「ドロップシッピング」とは

 
 「アフィリエイト」「ドロップシッピング」という言葉を聞いて、すぐにイメージが浮かぶでしょうか。

 
 これらは、いずれも近年みられるインターネットを使用したサイドビジネスです。最近は、このアフィリエイトやドロップシッピングに伴う、トラブルの案件が増えています。

 
 アフィリエイトとは、一般的には提携先の商品広告を自分のウェブサイト上に掲載し、その広告をクリックした人が提携先から商品を購入するなどした場合、一定額の報酬を得られるというものです。

 
 また、ドロップシッピングとは、一般的には自分のウェブサイト上に商品を掲載し、商品の申込があった場合、メーカーや卸業者から申込者へ商品を直送するというものです。

 

2 トラブルの原因

 
 アフェリエイトも、ドロップシッピングも、(もちろん)それ自体ではなんら違法なものでもありません。

 
 それでは、どのようにしてトラブルが生じているのでしょうか。

 
 一つの原因は、アフィリエイトやドロップシッピングを行うためのサイト開設を行う仲介業者の問題です。

 
 アフェリエイトもドロップシッピングも、一般の方がサイドビジネスとして仲介業者からの勧誘を受けて行うケースが多いようです。仲介業者から勧誘を受けて、自分のウェブサイトを開設するという高額なホームページ作成委託契約を結ぶものの、思うような収入が得られないというトラブルが典型例です。仲介業者から「サポートするので確実に利益が得られます」「在庫を持たずにできるので安心」「面倒なことはこちら(仲介業者)が全部やるので初心者でも大丈夫」などという甘い言葉で勧誘を受けて契約するものの、実際には大したサポートは得られず、高額なホームページ作成費用だけを支払い続けることになることになってしまうのです。

 
 
 被害者の方も、仲介業者を信頼し、アフィリエイトやドロップシッピングの仕組みがよくわからないままに、ちょっとした副収入を得たいという気持ちで、高額な契約をしてしまうようです。

 

3 法律上の救済の問題

 
 このようなアフィリエイトとドロップシッピングの被害者を救済する際の最大の問題はいずれも副業とはいえ「事業」ですから、「事業者」として扱われてしまう可能性があることです。

 
 近年では、消費者を保護する法令が整備され、一般の消費者がトラブルに巻き込まれた場合には、法律によってそれなりの保護を受けることができます。これは、消費者が事業者に比べて、知識も能力も「弱い立場」にあることから、法律上保護するという発想によるものです。

 
 これに対し、アフィリエイトやドロップシッピングを始める者は、売上を求めて「個人事業主」=「事業者」として活動します。そのために、仲介業者との契約は事業者間の対等な取引として、消費者保護のための各法令が適用されにくい可能性があるのです。

 
 実際にも、消費者生活センターなどが関与してあっせんを試みたケースでは、仲介業者は「事業者間の契約である」として交渉に応じないというケースも多いと聞きます。

 

4 おわりに

 
 このようにアフィリエイトやドロップシッピングは、新しい分野のビジネスとして有益なものではありますが、当然のことながら、広告をクリックする人や商品を買ってくれる人がいなければ利益が得られないことは通常のビジネスと全くかわりありません。

 
 ウェブサイトを作りさえすれば、ただ単に仲介業者が用意した広告を掲載するだけで「誰でも簡単に稼げる」などという「うまい話はない」ということを思い返す必要がありそうです。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 大橋 良二◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2010年8月12日号(vol.60)>

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