2011/07/19
法務情報
【法律相談】建築・土木の請負契約でよくあるトラブル
工務店・ハウスメーカー・ゼネコンなど、建築・土木関係の請負契約については、よくあるトラブルのパターンがあります。
一つは、「契約内容がはっきりしない」ことによるトラブルであり、契約締結時は設計・仕様・代金等を書面で取り決めているのに、細部や途中の仕様変更などが書面で残っていないため、顧客と請負業者あるいは元請・下請間で認識の相違が生じてしまうケースです。
これは、契約の性質上やむを得ない面もあるのですが、注意すれば防げたのにと思うことも度々あります。
土木については、公共工事がほとんどですが、やはり追加・変更をめぐるトラブルが目につきます。施主である国・公共団体は、必ずしも追加・変更額を元請の要望どおりは認めてくれません。下請代金は元請代金の何パーセントという決め方が多いので、元請が発注者から工事の追加・変更を認めてもらわないと、下請業者からすれば、いわゆる「請け負け」になっていまいます。
また、書面等がない場合に、追加・変更分も当初契約と同じような元請代金の何パーセントという合意であると当然に認められるかどうかも、争いの余地があります。
二つは、仕事の質に関する「瑕疵」「欠陥」にまつわるものです。
現代では、建物の不具合等には厳しい人が多くなっていますし、実際に欠陥と言われても仕方のない不出来な設計・施工も散見されます。これは工法や請負業者の規模にかかわりません。もっとも、代金を請求された場合に、代金をまけさせるために、些末な点にわたり不具合を主張していると思われるケースもあります。
私の知る限り、大手のハウスメーカーなどでは、顧客に対しては比較的譲歩した対応をとるような感があります。その要因としては、紛争悪化がもたらす評判の悪化等の様々なリスクに加え、契約上「10年保障」などと長期間の保障を売りにしている(建物の構造耐力部や屋根などは品確法で義務づけ)ことから、顧客との関係をできるだけ損なわないように、という気遣いがあるようです。
本年(※2009年)10月1日からは、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)が施行されます。これにより、新築住宅の発注者や買主を保護するため、新築住宅の請負人や売主に、資力確保措置(保険への加入または保証金の供託)が義務付けられます。
また、保険が付けられた住宅については、消費者と建設業者や宅地建物取引業者との間で紛争が生じた場合、安い費用(1万円)で、住宅紛争審査会(新潟県弁護士会 が担当します)による紛争処理手続き(あっせん・調停・仲裁)を利用することができるようになります。
なんにせよ、これらのことについて、何かお困りのことがございましたら、遠慮なく当事務所の弁護士までお問い合わせ下さい。
◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 今井 慶貴◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2009年7月号(vol.40)>
カテゴリー
月間アーカイブ
- 2024年11月(1)
- 2024年10月(1)
- 2024年9月(1)
- 2024年8月(1)
- 2024年7月(2)
- 2024年6月(2)
- 2024年5月(2)
- 2024年4月(1)
- 2024年3月(2)
- 2024年2月(2)
- 2024年1月(1)
- 2023年12月(1)
- 2023年10月(2)
- 2023年9月(2)
- 2023年8月(2)
- 2023年7月(2)
- 2023年5月(1)
- 2023年4月(2)
- 2023年3月(2)
- 2023年2月(2)
- 2023年1月(2)
- 2022年12月(3)
- 2022年11月(2)
- 2022年10月(1)
- 2022年9月(1)
- 2022年8月(2)
- 2022年7月(2)
- 2022年6月(1)
- 2022年5月(1)
- 2022年4月(1)
- 2022年3月(2)
- 2022年2月(1)
- 2022年1月(1)
- 2021年12月(1)
- 2021年11月(1)
- 2021年10月(2)
- 2021年9月(2)
- 2021年6月(1)
- 2021年4月(2)
- 2021年3月(1)
- 2021年1月(3)
- 2020年12月(3)
- 2020年11月(10)
- 2020年10月(5)
- 2020年9月(7)
- 2020年8月(4)
- 2020年7月(3)
- 2020年6月(3)
- 2020年5月(11)
- 2020年4月(5)
- 2020年3月(2)
- 2019年12月(1)
- 2019年9月(1)
- 2019年7月(2)
- 2019年6月(3)
- 2019年5月(2)
- 2019年4月(1)
- 2019年3月(3)
- 2019年2月(2)
- 2018年12月(1)
- 2018年10月(2)
- 2018年9月(1)
- 2018年7月(1)
- 2018年6月(1)
- 2018年5月(1)
- 2018年4月(1)
- 2018年3月(1)
- 2017年12月(1)
- 2017年11月(2)
- 2017年5月(1)
- 2017年3月(1)
- 2017年2月(2)
- 2016年12月(5)
- 2016年8月(2)
- 2016年7月(3)
- 2016年5月(1)
- 2016年4月(2)
- 2016年3月(4)
- 2016年2月(3)
- 2016年1月(1)
- 2015年11月(1)
- 2015年9月(1)
- 2015年8月(1)
- 2015年7月(1)
- 2015年6月(1)
- 2015年4月(1)
- 2015年3月(2)
- 2015年1月(3)
- 2014年9月(6)
- 2014年8月(3)
- 2014年6月(3)
- 2014年5月(3)
- 2014年4月(2)
- 2014年2月(2)
- 2014年1月(2)
- 2013年12月(5)
- 2013年11月(1)
- 2013年10月(5)
- 2013年9月(5)
- 2013年8月(2)
- 2013年7月(2)
- 2013年6月(4)
- 2013年5月(2)
- 2013年4月(3)
- 2013年3月(3)
- 2013年2月(2)
- 2013年1月(1)
- 2012年12月(2)
- 2012年11月(2)
- 2012年10月(1)
- 2012年9月(2)
- 2012年8月(2)
- 2012年7月(2)
- 2012年6月(2)
- 2012年5月(1)
- 2012年4月(2)
- 2012年2月(2)
- 2012年1月(3)
- 2011年12月(2)
- 2011年11月(3)
- 2011年10月(3)
- 2011年9月(8)
- 2011年8月(10)
- 2011年7月(8)
- 2011年6月(8)
- 2011年5月(10)
- 2011年4月(9)
- 2011年3月(9)