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2022/03/07

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年金手帳が廃止されます(弁護士:中澤 亮一)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 中澤 亮一

中澤 亮一
(なかざわ りょういち)

一新総合法律事務所 
理事/上越事務所長/弁護士

出身地:新潟県南魚沼郡湯沢町 
出身大学:早稲田大学法科大学院修了

国立大学法人における研究倫理委員会委員、新潟県弁護士会学校へ行こう委員会副委員長などを務めている。主な取扱分野は、離婚、金銭問題、相続。また、企業法務(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)などにも精通しています。
複数の企業でハラスメント研修、相続関連セミナーの外部講師を務めた実績があります。

 

1. 令和4年4月より年金手帳が廃止されます

 

令和2年6月5日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布され、今年(令和4年)4月より年金手帳が廃止されることになりました。

 

年金手帳は、20歳以上の公的年金加入者に交付される手帳で、年金に関する情報が記載されています。

その中でも重要なのが「基礎年金番号」です。

この番号は、実際に年金に関する手続きを行う際や、自分の年金情報などを確認する際に用いられる重要なものです。

 

では、なぜそのように重要な年金手帳が廃止されることになったのでしょうか?また、廃止されるとどうなってしまうのでしょうか?

 

2. なぜ廃止されるのか?

年金手帳が廃止されることになった理由の一つに、マイナンバー制度の導入があります。

平成27年10月以降、住民票を持つ人には一人に一つマイナンバーが通知されていますが、平成30年3月からは、今まで基礎年金番号で行っていた国民年金に関する届出や申請について、全てマイナンバーを使って行うことができるようになりました。

また、行政のオンライン窓口サイト「マイナポータル」を使えば、自分の年金加入記録も確認できるようになっています。

 

つまり、これまで年金の手続には必要不可欠であった基礎年金番号が、マイナンバーによって代替され不要になってきており、それに伴って年金手帳についても必要性がなくなってきたのです。

 

3. 年金手帳は廃棄しても大丈夫?

年金手帳が廃止された後(令和4年4月以降)に国民年金等に加入した人には、年金手帳の代わりに「基礎年金番号通知書」が送付されることになります。

 

また、すでに年金手帳を持っている人については、廃止後も引き続き基礎年金番号を明らかにする書類として利用することができます。

年金手帳については引き続き大事に保管しておく方がよいでしょう。

なお、年金手帳廃止後に年金手帳を(紛失などの理由で)再発行する場合には、手帳ではなく基礎年金番号通知書が交付されるとのことです。

 

4. 法律事務所業務の中で、年金手帳が必要な場面も

我々弁護士が年金と聞いて思い浮かぶことの一つに、離婚時の「年金分割」があります。

この年金分割は、夫婦が離婚するときに、婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができる制度です。

離婚調停の申立てを行う際には、この年金分割を合わせて請求することが多いです。

 

この手続には「年金分割のための情報通知書」という書類が必要になるので、依頼者の方に年金事務所に行ってもらい取得の手続きをしてもらうのですが、そのときに「年金手帳を持っていってください」とアドバイスすることがありました。

しかし、上記のように平成30年3月からはマイナンバー(カード)で代替することができるようになったので、今後は「どちらかを持っていってください」ということになります。

 

5. 最後に

行政手続きの合理化やオンライン化によって、便利になっていくことは間違いないと思いますが、それに伴って生じる変化についていくことが大変な面もあります。

いざという時に困らないよう、情報収集しておきましょう。

【弁護士:中澤 亮一】


 

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