2022/07/27
法務情報
投資トラブルにご注意を(弁護士:山田 真也)
新潟事務所、燕三条事務所、長岡事務所、新発田事務所、上越事務所、弁護士山田真也、コラム
1 はじめに
「貯蓄から投資へ」。
この言葉は、2003年の小泉政権時に、国民1人1人が資産形成を行うことを目標に掲げられたスローガンです。
岸田総理が「貯蓄から投資へ」と発言したこともあり、耳にされた方も多いと思います。
その一方で、最近では、お笑いコンビ「TKО」の木本武宏さんが、投資トラブルを原因として、今年の7月23日付で所属する松竹芸能株式会社を退所されることが発表され、ニュースになっています。
今回は、そんな「投資」に関するお話です。
(なお、本記事は、TKО木本さんの投資トラブルについて個別に言及するものではありません。)
2 「元本保証」の投資商品って存在するの?
投資商品の代表的な例としては、「株式」、「投資信託」、「外貨預金」、「暗号資産」、「公共債」等があります(一方、貯蓄の代表的な例は、「預貯金」です)。
これらの投資商品に、「元本保証」はありません。
法律上も、「出資法」により、「元本保証」や「必ず儲かる」という謳い文句で出資を募ることは禁じられており、違反した場合の罰則規定(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金)も設けられています。
しかし、ここで、「あれ、でも元本確保をうたう投資商品を見たことがあるぞ」という方もいるかもしれません。
この疑問を解消するためには、「元本保証」と「元本確保」の違いを理解する必要があります。
「元本保証」とは、「運用機関に関わらず元本割れする可能性がない」(分かりやすく言うと「絶対に損をしない」)という意味です。
一方、「元本確保」とは、満期時まで運用すれば元本が確保されるという意味であり、満期前に解約した場合や、運用する金融機関が破綻した場合等には、元本割れのリスクが存在します。
貯蓄型保険や投資信託の中には、「元本確保」をうたう商品が存在しますが、元本割れのリスクがあることについて、きちんと説明がなされていれば、出資法違反にはなりません。
3 投資商品の販売・勧誘って誰でもできるの?
他者から金銭などの出資・拠出を集め、当該金銭を用いて何らかの事業・投資を行い、その事業から生じる収益等を出資者に分配するような仕組みのことを集団的投資スキーム(ファンド)といいます。
この集団的投資スキームの形により投資商品の販売・勧誘を行うことができる者は、金融商品取引法により「金融商品取引業の登録を受けた者」に限定されています。
金融庁のホームページでも、以下のような注意喚起がなされています。
「登録を受けずに、一般投資家に対して、ファンドへの出資の勧誘等をすることは、法律違反の可能性があります。このような無登録業者からの勧誘は、詐欺的な商法であるおそれが高いと考えられますので、一般の皆様は、一切関わりにならないようにしてください。」
(引用元:金融庁HP https://www.fsa.go.jp/ordinary/fund/index.html)
なお、金融庁のホームページでは、「登録業者」が確認できるとともに、「過去に無登録で金融商品取引業を行った者」が確認できます。
そのため、もし、怪しい業者・人物から投資話を持ち掛けられた場合は、一度、金融庁のホームページで確認されるとよいでしょう。
4 おわりに
投資は正しく理解し、正しく活用すれば、個人の資産形成に資する側面を有します。
その一方で、投資を悪用する者や、投資トラブルに巻き込まれてしまう方がいることも事実です。
投資トラブルに巻き込まれないためには、
① うまい話には裏があると疑う
② 正規の業者から、正規の商品を購入する
③ 自分が理解していない、理解できていない商品には投資をしない
これらを徹底することに尽きるように思います。
◆弁護士コラム一覧はこちら
◆相談のご予約・お問い合わせはこちら
【ご注意】
◆記事の内容については、執筆当時の法令及び情報に基づく一般論であり、個別具体的な事情によっては、異なる結論になる可能性もございます。ご相談や法律的な判断については、個別に相談ください。
◆当事務所は、本サイト上で提供している情報に関していかなる保証もするものではありません。本サイトの利用によって何らかの損害が発生した場合でも、当事務所は一切の責任を負いません。
◆本サイト上に記載されている情報やURLは予告なしに変更、削除することがあります。情報の変更および削除によって何らかの損害が発生したとしても、当事務所は一切責任を負いません。
カテゴリー
月間アーカイブ
- 2024年11月(1)
- 2024年10月(1)
- 2024年9月(1)
- 2024年8月(1)
- 2024年7月(2)
- 2024年6月(2)
- 2024年5月(2)
- 2024年4月(1)
- 2024年3月(2)
- 2024年2月(2)
- 2024年1月(1)
- 2023年12月(1)
- 2023年10月(2)
- 2023年9月(2)
- 2023年8月(2)
- 2023年7月(2)
- 2023年5月(1)
- 2023年4月(2)
- 2023年3月(2)
- 2023年2月(2)
- 2023年1月(2)
- 2022年12月(3)
- 2022年11月(2)
- 2022年10月(1)
- 2022年9月(1)
- 2022年8月(2)
- 2022年7月(2)
- 2022年6月(1)
- 2022年5月(1)
- 2022年4月(1)
- 2022年3月(2)
- 2022年2月(1)
- 2022年1月(1)
- 2021年12月(1)
- 2021年11月(1)
- 2021年10月(2)
- 2021年9月(2)
- 2021年6月(1)
- 2021年4月(2)
- 2021年3月(1)
- 2021年1月(3)
- 2020年12月(3)
- 2020年11月(10)
- 2020年10月(5)
- 2020年9月(7)
- 2020年8月(4)
- 2020年7月(3)
- 2020年6月(3)
- 2020年5月(11)
- 2020年4月(5)
- 2020年3月(2)
- 2019年12月(1)
- 2019年9月(1)
- 2019年7月(2)
- 2019年6月(3)
- 2019年5月(2)
- 2019年4月(1)
- 2019年3月(3)
- 2019年2月(2)
- 2018年12月(1)
- 2018年10月(2)
- 2018年9月(1)
- 2018年7月(1)
- 2018年6月(1)
- 2018年5月(1)
- 2018年4月(1)
- 2018年3月(1)
- 2017年12月(1)
- 2017年11月(2)
- 2017年5月(1)
- 2017年3月(1)
- 2017年2月(2)
- 2016年12月(5)
- 2016年8月(2)
- 2016年7月(3)
- 2016年5月(1)
- 2016年4月(2)
- 2016年3月(4)
- 2016年2月(3)
- 2016年1月(1)
- 2015年11月(1)
- 2015年9月(1)
- 2015年8月(1)
- 2015年7月(1)
- 2015年6月(1)
- 2015年4月(1)
- 2015年3月(2)
- 2015年1月(3)
- 2014年9月(6)
- 2014年8月(3)
- 2014年6月(3)
- 2014年5月(3)
- 2014年4月(2)
- 2014年2月(2)
- 2014年1月(2)
- 2013年12月(5)
- 2013年11月(1)
- 2013年10月(5)
- 2013年9月(5)
- 2013年8月(2)
- 2013年7月(2)
- 2013年6月(4)
- 2013年5月(2)
- 2013年4月(3)
- 2013年3月(3)
- 2013年2月(2)
- 2013年1月(1)
- 2012年12月(2)
- 2012年11月(2)
- 2012年10月(1)
- 2012年9月(2)
- 2012年8月(2)
- 2012年7月(2)
- 2012年6月(2)
- 2012年5月(1)
- 2012年4月(2)
- 2012年2月(2)
- 2012年1月(3)
- 2011年12月(2)
- 2011年11月(3)
- 2011年10月(3)
- 2011年9月(8)
- 2011年8月(10)
- 2011年7月(8)
- 2011年6月(8)
- 2011年5月(10)
- 2011年4月(9)
- 2011年3月(9)