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2022/10/04

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調停制度100周年(弁護士:橘 里香)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 橘 里香

橘 里香
(たちばな りか)

一新総合法律事務所 
理事/弁護士

出身地:沖縄県那覇市
出身大学:青山学院大学法科大学院修了

主な取扱分野は、離婚(親権、養育費、面会交流等)、男女問題。
そのほか相続、金銭問題など幅広い分野に精通しています。メンタルケア心理士の資格を活かし、法的なサポートだけでなく、依頼者の気持ちに寄り添いながら未来の生活を見据えた解決方法を一緒に考えていきます。

 

令和4年10月は、調停制度ができてからちょうど100年目、裁判所ではこの節目に調停制度の理解を深めてもらうべく記念の特殊切手発行など様々な企画を実施しています。

 

この機会に、調停ってどんなものなのかについてお話ししてみたいと思います。

 

1 調停の歴史

調停制度の始まりは、1922年10月の借地借家調停法の施行によります。

当初、関東大震災後の借地借家紛争の解決のために活用されたようです。

その後、1939年には人事調停法が施行され、家事調停も始まり、現在では、借地借家問題を含む幅広い民事問題を取り扱う民事調停の他に、離婚問題や相続問題を扱う家事調停、知財問題を取り扱う知財調停など、幅広い問題で調停が利用されています。

 

2 調停とは

 

調停とは、裁判所で行う話合いの手続きです。

 

通常、裁判官1名と調停委員2名で調停委員会を構成し、この調停委員会が間に入って中立の立場で当事者の話を聞き、意見の調整を行ったり、解決案を示したりしながら、問題の合意による解決を目指す手続きです。

 

民事調停は簡易裁判所で、家事調停は家庭裁判所で行います。

 

ポイントは、あくまでも話合いの手続きであり、結論を強制されたり、裁判所が何か判断を下す場ではないという点です。

 

3 調停委員とは

調停委員には、紛争解決に有用な専門知識を有する方や社会生活上豊富な経験知識を有する方として各裁判所が選び、最高裁判所に任命された方がなります。

 

弁護士や士業の方が調停委員をしていることもありますが、多くは地域の中で活躍され社会生活上豊富な経験知識を有す法曹経験のない一般の方です。

一般市民の良識を反映させるという目的から、調停委員会は裁判官のみでなく調停委員2名を入れた3名で構成しているのです。

 

基本的には、調停委員は推薦で選ばれます。

弁護士会、司法書士会、行政書士会、税理士会など資格団体の推薦の他にも、商工会議所や民生委員児童委員協議会などの推薦や着任中の調停委員の推薦などで選ばれるケースもあります。

 

任期は2年ですが、再任されることが多いので10年~20年のベテランの方もいらっしゃいます。

 

4 調停の進め方

だいたい月1回のペースで調停期日を設定し、協議を進めていきます。

 

1 回の期日は2~3時間くらいで、申立人から30分話をきいたら、待合室に戻ってもらい、相手方を呼んで30分話をするという形で両当事者の話を聞いていきます。

 

通常、裁判官は各調停に常に立ち会う訳ではなく、調停委員2名が当事者の話を聞き、その結果を裁判官に報告、相談しながら調停を進めていく形がとられます。

 

調停の部屋には当事者と代理人弁護士しか入れないので、親族が一緒に話をすることはできません。

 

両当事者で解決方法について合意に至れると、裁判官が合意内容を確認し、その内容が調停調書という形で書面化されます。

 

この調停調書は、確定判決と同一の効力が認められていることから、金銭支払い約束などについては、約束が守られないときに強制執行手続を取ることが可能となります。

 

5 調停のメリット

調停のメリット、1つ目は、比較的低額で申立てが可能と言う点です。

家事調停の印紙代は高額でも数千円程度です。

民事調停の印紙代は請求する金額によりますが、訴訟より低額の設定となっています。

 

2つ目に、申立てが簡単という点です。

訴状と違い細かいルールがないので、裁判所のHPから書類をダウンロードして記入し、個人で申し立てることも可能です。

 

3つ目は、基本的には相手方と直接顔を合わさずに進められるという点です。

成立場面などでは、両当事者同席で確認を行うのが原則ですが、顔を合わせたくないなどと裁判所にお願いすると、別々に確認を行ってくれることも多いといえます。

 

6 おわりに

令和2年の民事調停の申立て件数は約3万件、家事調停の申立て件数は13万件とのことです。

 

今後も、話合いによる解決の手続きとして調停制度の発展が期待されるところです。

 

100周年のこの機会に、調停がどんな手続きなのかを皆さんに理解していただき、紛争解決の手続きとして更に発展活用されていくことが期待されます。

 


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