2023/03/08
法務情報
ChatGPTと著作権(弁護士:山田 真也)
新潟事務所、燕三条事務所、長岡事務所、新発田事務所、上越事務所、弁護士山田真也、コラム
1 はじめに
最近世間で話題になっています対話型AI「ChatGPT」(チャットジーピーティー)をご存じでしょうか?
今回は、この「ChatGPT」について解説します。
2 ChatGPTとは
ChatGPTとは、アメリカに所在する人工知能(AI)研究所である「OpenAI」が2022年11月に公開した人工知能チャットボットです。
「チャットボット」とは、「チャット」(会話)と「ボット」(ロボット)を組み合わせた言葉で、自動会話プログラムを意味します。
これまでも様々なチャットボットは存在していましたが、その中でも、ChatGPTは、より自然な対話・文章形成が可能ということで注目を集めています。
2023年3月1日時点では、ChatGPTは「無料プラン」(ChatGPT)と「有料プラン」(ChatGPT Plus)がそれぞれ提供されています。
3 ChatGPTと著作権
ChatGPTにより作成された文章の著作権は誰に帰属するのでしょうか?
ChatGPTを提供しているOpenAIの利用規約(※)によれば、「法律に違反しない範囲で、ユーザーはすべての文章を所有し、ユーザーが規約を遵守している限りは、OpenAIは出力に対するすべての権利、利益をユーザーに譲渡するものとします。」と要約できます。
当然のことながら、今後、利用規約が変更される可能性もありますが、この利用規約を読む限り、少なくとも現時点では、ユーザーが規約を遵守しているという条件付きではあるものの、ChatGPTにより作成された文章の著作権はユーザーにあると考えられます。
しかしながら、ここで注意しなければならないことがあります。
それは、「ChatGPTにより作成された文章自体に著作権侵害が含まれていないか否か」です。
ChatGPTにより作成された文章の著作権がユーザーにあるとしても、その文章自体に著作権侵害が含まれていれば、ユーザーは著作権違反に問われる可能性があります。
そのため、ChatGPTにより作成された文章について単なる私的な利用にとどまらず、外部に公開等する場合には、著作権侵害の有無の観点から内容をきちんと確認する必要があると考えられます。
また、現状では、ChatGPTにより作成された文章について、必ずしも内容の正確性が担保されておらず、誤った内容・情報が含まれた文章が作成されてしまうこともあるようです。
以上を踏まえますと、ChatGPTにより作成された文章の利用については、少なくとも著作権の問題がもう少しクリアになり、かつ、内容の正確性が担保されるまでは、私的な利用にとどめ、対外的な場面での利用には慎重になったほうが無難かもしれません。
4 おわりに
最近、「ChatGPTを利用した論文やレポート作成」についての記事・ニュースを目にしました。
ChatGPTは、より人間に近い自然な文章作成が可能になったAIですが、現時点では、先に説明しましたように内容に誤りが含まれる可能性はありますし、論文やレポートを採点する立場の人が読めば、自分で考えて書いた文章なのか否かある程度判別が可能なのかもしれません。
しかしながら、思い返しますと、私が学生のころは、AIが論文やレポートを作成するなど思いもしない話でした。
現時点では、発展途上にあるAIですが、いつの日か、完璧な論文・レポートを作成するAIが登場するのかもしれません。
※引用元URL
OpenAI利用規約:https://openai.com/policies/terms-of-use
◆弁護士コラム一覧はこちら
◆相談のご予約・お問い合わせはこちら
【ご注意】
◆記事の内容については、執筆当時の法令及び情報に基づく一般論であり、個別具体的な事情によっては、異なる結論になる可能性もございます。ご相談や法律的な判断については、個別に相談ください。
◆当事務所は、本サイト上で提供している情報に関していかなる保証もするものではありません。本サイトの利用によって何らかの損害が発生した場合でも、当事務所は一切の責任を負いません。
◆本サイト上に記載されている情報やURLは予告なしに変更、削除することがあります。情報の変更および削除によって何らかの損害が発生したとしても、当事務所は一切責任を負いません。
カテゴリー
月間アーカイブ
- 2024年11月(1)
- 2024年10月(1)
- 2024年9月(1)
- 2024年8月(1)
- 2024年7月(2)
- 2024年6月(2)
- 2024年5月(2)
- 2024年4月(1)
- 2024年3月(2)
- 2024年2月(2)
- 2024年1月(1)
- 2023年12月(1)
- 2023年10月(2)
- 2023年9月(2)
- 2023年8月(2)
- 2023年7月(2)
- 2023年5月(1)
- 2023年4月(2)
- 2023年3月(2)
- 2023年2月(2)
- 2023年1月(2)
- 2022年12月(3)
- 2022年11月(2)
- 2022年10月(1)
- 2022年9月(1)
- 2022年8月(2)
- 2022年7月(2)
- 2022年6月(1)
- 2022年5月(1)
- 2022年4月(1)
- 2022年3月(2)
- 2022年2月(1)
- 2022年1月(1)
- 2021年12月(1)
- 2021年11月(1)
- 2021年10月(2)
- 2021年9月(2)
- 2021年6月(1)
- 2021年4月(2)
- 2021年3月(1)
- 2021年1月(3)
- 2020年12月(3)
- 2020年11月(10)
- 2020年10月(5)
- 2020年9月(7)
- 2020年8月(4)
- 2020年7月(3)
- 2020年6月(3)
- 2020年5月(11)
- 2020年4月(5)
- 2020年3月(2)
- 2019年12月(1)
- 2019年9月(1)
- 2019年7月(2)
- 2019年6月(3)
- 2019年5月(2)
- 2019年4月(1)
- 2019年3月(3)
- 2019年2月(2)
- 2018年12月(1)
- 2018年10月(2)
- 2018年9月(1)
- 2018年7月(1)
- 2018年6月(1)
- 2018年5月(1)
- 2018年4月(1)
- 2018年3月(1)
- 2017年12月(1)
- 2017年11月(2)
- 2017年5月(1)
- 2017年3月(1)
- 2017年2月(2)
- 2016年12月(5)
- 2016年8月(2)
- 2016年7月(3)
- 2016年5月(1)
- 2016年4月(2)
- 2016年3月(4)
- 2016年2月(3)
- 2016年1月(1)
- 2015年11月(1)
- 2015年9月(1)
- 2015年8月(1)
- 2015年7月(1)
- 2015年6月(1)
- 2015年4月(1)
- 2015年3月(2)
- 2015年1月(3)
- 2014年9月(6)
- 2014年8月(3)
- 2014年6月(3)
- 2014年5月(3)
- 2014年4月(2)
- 2014年2月(2)
- 2014年1月(2)
- 2013年12月(5)
- 2013年11月(1)
- 2013年10月(5)
- 2013年9月(5)
- 2013年8月(2)
- 2013年7月(2)
- 2013年6月(4)
- 2013年5月(2)
- 2013年4月(3)
- 2013年3月(3)
- 2013年2月(2)
- 2013年1月(1)
- 2012年12月(2)
- 2012年11月(2)
- 2012年10月(1)
- 2012年9月(2)
- 2012年8月(2)
- 2012年7月(2)
- 2012年6月(2)
- 2012年5月(1)
- 2012年4月(2)
- 2012年2月(2)
- 2012年1月(3)
- 2011年12月(2)
- 2011年11月(3)
- 2011年10月(3)
- 2011年9月(8)
- 2011年8月(10)
- 2011年7月(8)
- 2011年6月(8)
- 2011年5月(10)
- 2011年4月(9)
- 2011年3月(9)