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2023/07/19

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フリー素材は好き勝手に使用できるわけではない!使用上の注意点(弁護士 佐藤 明)

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フリーイラストを使用する際の注意点

フリーとは「著作権フリー」ではない

ニュース等でも見かけるように、ウェブ上にフリーとあったイラスト等を無料で利用できると思って、自分のホームページ等に使用したら、著作権侵害にあたるとしてその著作者やイラストの管理者から損害賠償請求されることがあるようです。

 

フリーとあるのだから、著作権侵害に当たらないのではと安易に思ってしまうかもしれませんが、イラストなどの素材も思想または感情を創作的に表現したものにあたり、著作権法上保護される著作物にあると考えられます。

そうすると、著作者がその著作権を放棄していないのであれば、基本的に著作者の同意がない限り、ウェブ上にフリーとあったとはいえ勝手に使用することは著作権侵害がないとはいえません。

このような使用は著作者(著作権者)の許諾が不要となる、私的利用の複製や、引用等にも当たらないでしょう。

 

「利用規約」を確認しましょう

また、ウェブ上でフリーと謳っていても、掲載されているホームページの利用規約等で利用するための条件があったりします。

メディアや様々な場面で利用されている「いらすとや」のイラストはその例といえます。

そのために利用規約等をちゃんと確認する必要があります。

 

「フリー=無料」と勘違いして使用した場合、法的責任に問われる?

では、フリーであると思っていたことや、営業のために利用するものではないことなどの理由で、損害賠償請求(民法上の不法行為責任)に応じなくてもいい場合があるでしょうか。

 

前述のようにフリーであると思い込んでいたとしても、その著作権が放棄されているわけではなく、利用規約等をちゃんと確認していれば、無料で使用できるかどうかわかったはずですから、過失が認められるでしょう。

著作権やIT等に詳しくないため、ホームページ等に利用してしまったといっても同様でしょう。

 

営業目的ではなかったとしても、そのことだけでは著作権侵害を否定する理由にはならないと考えられます。

なお著作権法には損害額推定や利用料相当額請求等の規定があることも注意が必要です。

 

IT・ICT社会になってイラストなど素材が誰でも簡単に入手できるようになったことの反面として、イラストの著作者あるいはその管理会社にとり、経済面だけでなく著作権を守ることが重要なことである以上、安易な利用が認められるものでないことを意識しておくべきでしょう。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 佐藤 明

佐藤 明
(さとう あきら)

一新総合法律事務所
副理事長/長岡事務所長/弁護士

出身地:新潟県長岡市
出身大学:新潟大学法学部(民法専攻)
新潟県弁護士会副会長(平成25年度)などを務める。
取扱い分野は、団体では企業法務、自治体法務、学校法務など。個人では相続や離婚などの家事事件、金銭問題など幅広い分野に対応しています。
社内研修向けにハラスメントセミナーや、相続・遺言、成年後見制度をテーマとしたセミナーで講師を務めた実績があります。


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