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法務情報

2023/09/14

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無断駐車への大量の警告貼り紙 法的な問題は?(弁護士:海津 諭)

新潟事務所燕三条事務所長岡事務所弁護士海津諭新発田事務所その他コラム

1 飲食チェーン店での無断駐車に対する大量貼り紙

 

最近、飲食チェーン店の駐車場に無断駐車をされたことに対して、店員が警告の文書を車一面に大量に貼り付けたことがニュースになりました。

 

ニュースによれば、無断駐車が長時間にわたって行われていたため、店員がおそらく二百枚以上もの警告の文書を、車の周囲にセロハンテープで貼り付けたりしたとのことです。

 

その後、この飲食チェーンの運営会社は、店員の対応が行き過ぎたものであったことや、店員に注意をして適切な対応方法を教育したことを、マスメディアの取材に対して回答しました。

 

2 大量に警告文を貼ることの法的問題

無断駐車をされた場合に、このように警告の文書を車に大量に貼ることは、法的に問題があるでしょうか。

 

例えば、接着剤や強い粘着テープを使うなどして、紙を簡単に剥がれなくした場合や、または剥がしても跡が残って簡単には消えなくした場合は、そのような貼り付け行為が器物損壊罪(刑法261条)に該当するおそれがあります。

 

このように、無断駐車への対応も、やり方によってはかえって犯罪になってしまうことがあります。

車の持ち主に対して文書で警告を伝えたいときは、文書をテープで貼るのではなく、ワイパー部分に挟むなど、跡が残らない方法で行うのが無難です。

 

3 無断駐車への対応方法

文書による警告の他に、無断駐車に対してはどのような対応が可能でしょうか。

 

まず、相手が無断駐車をしているからといって、その車を壊したり、車を遠くまで運んでしまったりすることは、法的には認められません。

 

ただし、車をその場所のまま絶対に動かしてはいけないという訳ではなく、同じ土地の中で、邪魔にならない場所に車を少し移動させる程度であれば、土地の管理権に基づく対応として可能であると考えられます。

なお、この移動のときも、車を傷つけないように注意する必要があります。

 

また、無断駐車によって明らかな損害が発生しているといえる場合は、その損害額を算定した上で、損害賠償請求(民法709条)を行うことが可能です。

 

この場合、車の持ち主がどこの誰かが分からなくては請求の手続きができませんので、必要であればナンバーから持ち主を照会することができます。

 

4 おわりに

無断駐車、すなわち他人の土地に正当な理由もないのに車を停める行為が、民事的に違法であることは間違いありません。

 

ただし、無断駐車をされた人も、その車に何をしても良いという訳ではありません。

いきすぎた対応を行うと、かえってその対応が違法になってしまうこともあります。

 

無断駐車でお困りの場合、判断に迷う場合などは、ぜひ弁護士にご相談ください。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 海津 諭

海津 諭
(かいづ さとる)

一新総合法律事務所 
理事/燕三条事務所長/弁護士

出身地:新潟県燕市
出身大学:京都大学法科大学院修了
新潟県公害審査委員、新潟県景観審議会委員を務めています。主な取扱分野は、相続全般(遺言書作成、遺産分割、相続放棄、遺留分請求など)です。そのほか、離婚、金銭問題、その他トラブルなど幅広い分野に精通しています。
相続・生前対策セミナーの講師を多数務めた実績があります。
また、『月刊キャレル』(出版:新潟日報事業社)に掲載のコーナー「法律相談室」に不定期で寄稿しており、身近な法律の疑問についてわかりやすく解説しています。


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